コーヒー文化が薫る街、札幌

SAPPORO X COFFEE

コーヒーのプロであり、1990年代に自身も自家焙煎の店で働きながら、
カフェめぐりを楽しんできた後藤氏監修のもと、
札幌のコーヒーの魅力をご紹介します。

札幌のコーヒーの魅力、カフェ・喫茶カルチャー特集!

後藤 栄二郎 氏

コーヒーのプロが監修のもと、ご紹介します!!

スペシャルティコーヒー専門店 「丸美珈琲店」
代表取締役

後藤 栄二郎

「コーヒー文化が薫る街“SAPPORO COFFEE CITY”」を提唱し、若手の育成やイベント開催など、札幌のコーヒー業界活性化に活躍するコーヒーのスペシャリスト。

主な受賞歴:
ワールドカップテイスターズ チャンピオンシップ(2009)/世界3位
ジャパンコーヒーロースティング・チャンピオンシップ(2013)/日本1位
ワールドコーヒーロースティングチャンピオンシップ(2014)/世界6位

札幌とコーヒーの
“深い”関係

札幌のコーヒーは自家焙煎と深煎りが特徴

札幌では、喫茶店でコーヒーを飲む文化の盛り上がりとともに、1970年代から自家焙煎の草分け的な喫茶店が登場し、その店の特徴だったのが「深煎り」のコーヒーでした。その焙煎技術の流れを組む店も増え、札幌のコーヒー文化に「自家焙煎」と「深煎り」のキーワードが定着したのではないでしょうか。「その当時の老舗店が今でも多数残っているのは全国的に見ても珍しいですよ」(後藤さん)

北海道・札幌の風土とコーヒーのおいしい関係

北海道の一年を通して冷涼な気候と湿度の少なさが、豆の管理や焙煎に適しています。札幌においては、口当たりが優しく飲みやすい「軟水」の水質が、コーヒーをより美味しく感じられるポイントといえます。

コーヒーのマメ知識

生豆の鮮度と焙煎がコーヒーの味を決める

コーヒーの木になる赤い実がコーヒーチェリー。完熟糖度は18度前後で、24度近い高糖度な品種もあり、果物に負けない甘さです。熟した実の種子が様々な工程を経て生豆になります。この生豆に熱を加えて煎るのが「焙煎」。浅煎り~中煎り~深煎りと焙煎度によりコーヒーの味わいや特徴が変わります。生豆の生産地や品種によって変わるその味わいの調整は焙煎士の腕の見せ所!

COFFEE ROAST

浅煎りは、酸味、すっきりした口当たり、フルーティーな香り。
中煎りは、酸味と苦みのバランスがよく、甘みと華やかな香り。
深煎りは、強めの苦みがミルクとも相性がよく、香ばしい香り。

コーヒーの淹れ方いろいろ

ネルドリップ

柔らかい起毛した「フランネル」で作られた布のフィルターで淹れることで、舌触りが滑らかなコーヒーになります。

サイフォン

大きなガラスのフラスコにコーヒー粉を入れて、お湯を浸してコポコポとじっくりと抽出します。味がぶれにくく、香りがよいのが特徴。

水出し

熱を加えずに長時間かけて抽出することで、コーヒーの豊かで深い香りがたっぷりと溶け込み、なめらかな口当たりになります。

エスプレッソ

専用マシンで豆と香りと味わいを凝縮して一気に抽出します。ミルクとアレンジして模様や絵を描くラテアートも人気があります。

新しい味の体験!
スペシャルティコーヒーとは

スペシャルティコーヒーとは、「From seed to cup~豆からカップに至るまで」の
総ての工程でベストを尽くしたコーヒーのこと。

  • 消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、満足するコーヒーであること。
  • 風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。
  • カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。

【日本スペシャルティコーヒー協会による定義】

厳しい基準をクリアした豆が日本に届いてから、美味しく淹れられるかどうかまでがスペシャルティコーヒー。焙煎人はしっかりとその豆のポテンシャルを引き出して提供します。品種に由来するものや、その土地の栄養分や水の違いによって出てくるテロワールの風味があり、バリエーションが豊か。コーヒーチェリーが持つフルーティーな果実に起因する酸味や甘みを楽しんでください。(後藤さん)

札幌は、日本一コーヒーが飲まれている街

2020年の「コーヒーへの年間支出額が多かった都市ランキング」で札幌市が第1位!(総務省統計局「家計調査」)。二人以上の世帯における年間支出額は8691円で、全国の平均支出額6988円を約1700円上回る結果でした。コーヒーへの関心が高まるとともに、コーヒーイベントも盛んな札幌。コーヒーファンの年齢層が広がったことも要因のひとつといえるでしょう。
「コーヒー」への支出額上位5都市および全国平均(2020年)※一世帯あたり(単身世帯を除く)

SAPPORO COFFEE CITY構想を
提唱する後藤さんに聞く、
札幌のコーヒーの楽しみ方

札幌のコーヒーを買い支えたのは酪農、漁業の人たち

札幌の自家焙煎と深煎り文化の歴史を知る老舗店のマスターから聞いたのは、1970年代ころ、早朝の目覚めの一杯としてコーヒーを飲む酪農家や漁師も増え、自家焙煎の豆をたくさん買ってくれたそうです。札幌のコーヒー文化の定着に貢献したのは彼らのおかげだったかもしれませんね。

音楽好きのオーナーが多かった

音楽だけでなく、音響にこだわるオーナーも多かった印象です。今でも大きなスピーカーやレコード機材など、素晴らしい音響設備を揃えた名店が多いのも札幌の特徴の一つかもしれません。コーヒーとこだわりの音響で聞く音楽、最高ですね!札幌の音楽とコーヒーの歴史にも素敵なエピソードがありそうです。

札幌は、色々なコーヒーの楽しみ方ができる街
宝探しのように楽しんで

北海道の地酒やワインと食事をペアリングするように、札幌で焙煎され、美味しい水で淹れたコーヒーと北海道の食も是非楽しんでください。北海道の小豆を使った上生菓子と合わせるのもおすすめですよ。上品な甘さと珈琲の苦さがちょうどよく、口の中でコーヒーの品種の味を繊細に感じやすいと思います。

札幌の自家焙煎の歴史をけん引してきた名だたる店が札幌の中心部に多くあり、郊外にもこだわりのカフェが増えています。また、トップレベルのコーヒー店や人材が揃い、後継者やバリスタも育っています。札幌では、深煎り文化、スペシャルティコーヒー、ラテアートと、様々なコーヒーやお店を楽しんでください。